飯田俊樹 ファンクラブ『十四季』会報 No.1
(25年7月発行)
会報に収まりきらなかった2つの記事の全文をこちらでご紹介!それぞれじっくり楽しんでくださいね。
■飯田俊樹本人が語る Self Liner Notes
■クボタアツシ Special Interview
飯田俊樹本人が語る Self Liner Notes
“いま”と“原点”をつなぐ、最初の一枚
── アルバムコンセプトについて
今回のアルバムは、僕の生まれた80年代の昭和歌謡たちをセレクト。
僕が82年生まれなので、まずは原点回帰の意味でも自分が生まれた時代を感じられる作品にしようと、そう決めました。
かつ、やはりこのファンクラブ「十四季(トシキ)」 として制作する1枚目は、ギターのクボタアツシさんと作ろうと。
となると、自然に曲目も見えてくるわけですが、やはり昭和歌謡の層の厚さ、いい曲が多い多い(笑)
やりたい曲を削っていくという工程はなかなかに辛くも感じましたが、これから僕は未来永劫作品を作り続けていこうとしているわけですから、とりあえず今、あっちゃんと演りたい曲、あっちゃんも映える曲を選んでいきました。
ちなみにこれを書いている段階では、まだタイトルや曲順を決められていません。何パターンかの中で、最後まで悩んでいます。笑
でもこの悩みこそが、ものづくり最後の過程として、物醍醐味だったりしますね。

一緒にめくる、アルバムのページ
── 「心の瞳」
ミスタートロットジャパンで歌ったこの曲は、僕の人生において忘れられないターニングポイントになりました。あのオーディションの中で語った想いは、SNSの記事にも綴っていますので、よければそちらもぜひ読んでみてください。
この曲をあの舞台で歌うと決まったとき、僕が一番大切にしたのは、「なるべく歌の練習をしないこと」 でした。不思議に思うかもしれません。ボーカル講師という仕事をしている自分にとっては、ある意味真逆の考え方です。でも、どうしても譲れなかったのです。テクニックや細かな表現を磨き込むよりも、僕の中にある “本当の心” をそのまま響かせたかった。
歌は結局、「どんなふうに届くか」 がすべてだと信じているから。だから僕は、あえて練習を封印しました。(本当にしていません…笑)
その代わり、何度も何度も心の中でこの曲を歌い、想いの持っていき方をイメージし続けました。今回のレコーディングでも、その時と同じように 「心のままに歌うこと」 を何より大切にしました。
“あの時と同じ”とはなかなかいかないのですけどもね。
あっちゃんと二人きりのシンプルな演奏だからこそ、より一層、心がそのまま届く音になっている…と信じたい。笑まるですぐそばで歌っているかのような音の作りにもなっています。
どうぞ、あなたも心のままに聴いてみてください。
── 「時の流れに身をまかせ」
この曲、実はミスタートロットジャパンに応募した曲なんです。自分のYouTubeに限定公開でアップしてそのURLを送り、それを素材に動画選考してもらうというのが最近のオーディションのやり方みたいです^_^
特別にそのURL、こちらに載せます!
秘密ですよ笑
── 「ワインレッドの心」
ライブでもよく話しますが、全ての歌手の中で僕が一番好きなのは玉置浩二さん。
言わずもがな“あまりにも神様”なわけですが笑、そこに果敢に挑戦する僕をお楽しみください。
どうしても音楽や歌声に触れられがちですが、この曲って歌詞についても注目してほしいんです。セクシーなメロディに裏に隠れて、歌っていることはとても温かい。あなたはもっと自由に生きていいんだよ。そのままでいいんだよ。そんなふうに大きく包み込むような激励ソングの側面もあるんですよ、実は。
── 「夏をあきらめて」
桑田佳祐さんによる、物悲しくもお洒落な夏の名曲。
この曲は僕ね、ボーカルをいかにグルーヴィーに聴かせるかというところを一番大切にしています。
つまり、歌そのものでグルーヴ(ノリ)を出すって言うことですかね。グルーヴを出すには切り際が非常に重要になります。
フレーズをどう切るかでベターっ、ダラーっとなるか、はたまた踊れる感じになるかが決まると言っても過言ではありません。
「なみー◯おとー◯がひびけば」
の切り方にご注目(耳)。
息を一気に吐きながらバッと切る、ブレスアウトというほんの小技を使って、良いノリを出しています。

── 「愛燦燦」
もっと昔の曲のようにも思えて、意外と80年代なこの曲。
あまり歌い上げず、淡々と、ボソボソと話すように歌うことを心がけて表現しています。
もっと歳を重ねた時にこの曲がどう聞こえてくるのかが楽しみです。
それを今の声で録音することにきっと意味があるはず。
── 「デザイア」
ギター1本でもここまで盛り上がれる!
あっちゃんの表現の幅をまざまざと見せつけられるようなアレンジですよね!
バンドでやるよりもこのシンプルな編成でやる方が、パフォーマンスするこっちとしてはグッとたぎるモードになります。少ない人数でなんとかしなきゃと思うからでしょうか。笑
「寝れるよ!」と宣伝してるこのアルバムですが、この曲があるせいでちょっと寝れなくなっています。そういう意味で、このアルバムに本当に入れるべきだったのか今でも悩んでます。笑
── 「元気をだして」
なんだか大好きで仕方ないこの曲。
愛燦燦でも同じような感覚を書きましたが、僕の歌の魅力の一つに、“話はように歌う”という表現があると自分では思っています。
この曲は、友人の隣に座り優しく励ますように語りかける映像をイメージしながら、テンションや声色を追求して歌いました。かつ、グルーヴィーに。でた、グルーヴィー。笑
こう見えてノリにはうるさい飯田俊樹です。

クボタアツシ Special Interview♪
発売されたばかりの 飯田俊樹の昭和歌謡アルバム。
レコーディングに臨んだばかりのクボタアツシさんこと「あっちゃん」に直撃インタビュー。
── 今回のアルバム、とっしーから声をかけられてどうでした?
あっちゃん:「え、めちゃくちゃ嬉しかった!」
── おぉ〜!
あっちゃん:「前回、とっしーと一緒にやったのが“さもオリジナルかのように”だから……あれから4〜5年ぶりで。」
── けっこう久しぶりですもんね。
あっちゃん:「だからこそ、また一緒にできるのが嬉しくて。とっしーとなら、どんな感じが合うかな〜って、もうその時点で頭の中でシミュレーションしてました。」
── 曲が決まる前から?
あっちゃん:「そう。まだ何を歌うか決まってなくても、“とっしーの声ならこんな雰囲気が合うかも”って、ずーっと想像してた。」
── その後、実際に曲が決まってからは?
あっちゃん:「家でもちょこちょこ練習していました。“どうしようかな〜どんな風にしようかな〜”って考えながら。」
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とっしーの声に寄り添うあっちゃんの感性、できあがった曲たちを聴くと、とっしーへの愛情がじわじわと伝わってきますね!

🎼とっしーとの”音楽づくり”とは?
昭和歌謡のアルバムで久々の共演となったあっちゃんととっしー。
今回の制作で、改めて感じた“とっしーのすごさ”について、あっちゃんが語ってくれました!
── 今回、とっしーと一緒に音楽をつくる中で、「やっぱりすごいな」と思ったことは?
あっちゃん:「レコーディング中、僕が録ったギターの音をとても細かく聞いてくれてるんです。ダイナミクスとか、リズムの揺れとかまで。」
── 細かくとは?
あっちゃん:「僕自身が“ちょっと弱いな…”って思っているリズムの部分も、整えてくれたり、歌でちゃんと合わせてくれる。僕が気づかないところまで見てくれてる感じがあって。」
── とっしーは、あっちゃんの特徴をよくわかってる?
あっちゃん:「そうですね。僕1人では出せなかったコード感を、逆に“もっとこうしたらいい”って引き出してくれたり。僕が持ってないものを、ちゃんと足してくれる。」
── まさに音楽的パートナーって感じですね。
あっちゃん:「そう思います。“一緒にやる”ことにより、1人で考えていたイメージとは全く別物の音楽が生まれてるという感覚ですね。」
── 普段のソロの演奏とデュオでの演奏は結構違いますか?
あっちゃん:「全然違います。僕がソロでやるときは、歌の部分も含めて全部ギターで表現しようとするんですけど、ギターには限界がある。」
── それを補うのが“とっしーの声”?
あっちゃん:「はい。とっしーにしかない声があって、僕にしか出せないギターの音がある。それを合わせていくこと、お互いの音をちゃんと寄せていくことが、いい音楽を生むんだと思ってます。」
💓お気に入りの曲と、“情熱の色”の話
昭和歌謡アルバムの中でも、あっちゃんがとくに思い入れのある曲とは――?
アレンジのこだわりや、とっしーとの音の化学反応について語ってくれました。
── 今回のアルバムの中で、特にお気に入りの曲はありますか?
あっちゃん:「『ワインレッドの心』ですね。実は今回が、人生で初めて演奏したんです。」
── えっ、人生で?初めてなんですか!?意外です。
あっちゃん:「聴くのは好きだったんですけど、演奏するのは初めてで。でも、やってみて改めてすごくいい曲だなって思いました。とっしーの声にもめちゃくちゃ合ってるし。」
🎧こだわりのアレンジ、注目ポイントは?
あっちゃん:「今回は全曲アレンジを担当したんですけど、特に『ワインレッドの心』は原曲とはちょっと違う雰囲気にしてみました。」
── どんな雰囲気に?
あっちゃん:「情熱的な要素は残しつつ、少しお洒落なムードを加えて。“燃えたぎる炎”みたいなイメージで、ベースを8分でずっと鳴らして、躍動感を出してます。」
── とっしーの歌い方も変わりましたか?
あっちゃん:「はい、とっしーも自然と歌い方が変わってるなと思っていて、合わせてみたらすごくいい仕上がりになったと思います。ぜひその“変化”も聴いてもらえたら嬉しいです。」
🔥“情熱の色”が違う?
── ちなみに、玉置浩二さんのオリジナルと比べると、情熱の質に違いは?
あっちゃん:「うーん…似てるけど違うんです。炎の“色”が違う感じ。」
── 色?たとえば…?
あっちゃん:「うーん、“赤”と“青”くらい違うかもしれない。」
── どっちが青ですか?
あっちゃん:「それは…皆さんの耳で感じてみてください(笑)。」

🎸もう1曲、こだわりの楽曲は?
あっちゃん:「もう1つ、『元気を出して』もすごく好きで、ギターはとことんこだわりました。」
── どのあたりに注目ですか?
あっちゃん:「ソロや間奏、エンディングも新しく加えたりして、アレンジを細かく詰めてます。
しかも今回は、歌以外の部分でも“あっちゃんらしさ”をしっかり出したつもりです。コードの響きや空気感にもかなりオリジナリティを入れてるので、ギターの音だけでも楽しんでもらえたら嬉しいですね。」
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最後に。
あっちゃんにこんなことを聞いてみました。
── とっしーを何かにたとえると?
あっちゃん:「うーん……なんだろ? 犬、かな?」
── 犬!?どんな?大きいやつ?小さいやつ?
あっちゃん:「小型のわちゃわちゃしてる感じより、ゴールデンレトリバーっぽいかな。髪の感じとかも似てるし笑、頼れる、どっしりした感じなんですよね」
── ふむふむ。
あっちゃん:「あ、でも!もっとぴったりなのあった!」
── なに!?
あっちゃん:「アンパンマンの“食パンマン”!!」
── お、かっこいい枠だ!
あっちゃん:「そう!とっしーは悪役って感じじゃないし、正義感あるし、なにより――」
── なにより?
あっちゃん:「“ドキンちゃん”みたいな熱烈なファンがついてるところ!そして紳士的だしね。ぴったりすぎる。笑」
あっちゃんの目に映るとっしー像は、やさしくて、頼り甲斐のある食パンマンなんですね笑
ふたりの感性が重なり、昭和の名曲がまた新たな形でよみがえります。ぜひ細部まで耳を澄ませて聴いてみてください!
インタビュー: みほ

次回会報もお楽しみに!感想なども、SNS等で投稿いただけると嬉しいです。
ありがとうございました。
